2012年06月03日

松尾のモットー

松尾のモットー


 気がつけば、子ども環境劇団PAFを始めて、7年が過ぎました。
 2005年にスタートしたPAF、その前は環境演劇劇団シアターキッズ地球村(後にシアターキッズカンパニー)を4年。子どもたちに演劇を教えて11年が過ぎ、子ども環境劇団を経て大人になったメンバーもいます。

 ある子はプロの俳優に、ある子はお母さんに。それぞれの人生を謳歌してくれたらなあと思いながら、指導をしています。

 何故、子ども環境劇団・・・“子ども”“環境”“劇団”にこだわったのか。それは、この劇団が始まるきっかけとなった、ネットワーク地球村の高木善之さんの講演タイトルからです。

 そのタイトルとは・・・「美しい地球を子どもたちに」です。

 私が初めて高木善之さんの講演を聞いたのは、1998年でした。とても衝撃でした。深刻な地球環境問題を知ったからです。

 私は当時、県立劇団を辞め、将来をどうするか迷っていました。高校で演劇を始め、卒業後、劇団を旗揚げし、仕事をしながら演劇活動をする日々を送っていた矢先、静岡県に県立劇団が設立され・・・所属して知りましたが、私が一番初めの県立劇団への問合せ者でした。そして念願のプロ劇団との契約。3年契約でしたから、3年静岡市で修業し、浜松市に戻って得たものを貢献するつもりでした。しかし、1年経ったのち、自分のやるべきことは違うのではないかと思ったのです。そして、1年半で契約を解除した、ちょうどその頃でした。

 私たちが演劇活動が出来るのは、日本が平和だからなんだ。そう、思いました。

 しかし、これからの未来には様々な環境問題が訪れるらしい、一演劇人として何か出来ないものか?それから、何度も講演会に足を運び、自分に出来ることは何か?を模索しました。TOMO☆PROJECTというプロデュース(1企画・1公演で集散)を始め、残りの1年半で6作品公演し、浜松に戻った最初の作品が、「EARTH~世紀を越え~」。劇団砂喰社の前身:劇団正義の味方が上演しました。まさに、地球環境問題をテーマにした作品でした。

 丁度その頃、浜松市が市内の環境団体に「はままつ環境フェア21」を開催するにあたって参加団体を募っているという話を聞き、ふと、「美しい地球を子どもたちに」という言葉が浮かびました。「EARTH~世紀を越え~」を子どもたちに演じてもらうのはどうか?と。子どもたち自身が、環境を学び、それを舞台にして、そのメッセージを伝えられたら・・・。

 そして、子ども環境劇団が、生まれたのです。

 私は、県立劇団という公に認められた劇団でプロとして演劇の仕事を担えました。しかし私は表現者の一人として、物足りなさがあったのです。演劇は、表現行為です。表現する為のメッセージや、テーマ、意味が無ければ、何を表現するのだろうか?と。

 私は、子どもたちに高木さんの講演会で学んだことや、自分の実体験を通して、環境問題を伝えました。温暖化になって雪が降らなくなったこと、遠州浜の砂浜が何故少なくなっているかということ、どうしてアフリカに難民が多いのかということ、広島・長崎の原爆の材料が何処からやってきたのかということ。

 子どもたちが大人になった時、「どうして教えてくれなかったの?」「どうして大人は何もしてくれなかったの?」と言われない為に、又、未来に生きるための知恵をつけてもらいたい為に。

 私は両親が障害者で、父は7歳の時に突然死にました。母一人子一人で、母は女の細腕?で聴覚障害がありつつも、よく育ててくれたなあと感謝しています。でも、何でも自分の未来は自分で決めなくてはいけなかった。通信簿の保護者欄は、小学生の頃から私が代筆していました。そんな経験でわかったことは、いずれは一人で立ち、生きなくてはいけない。それが単に、早いか、遅いかだけです。その瞬間は突然やってくるかもしれない。昨年の震災のようなことが、起こるかもしれない。子どもたちや若い人を見ていると、生きる力を出来るだけ早いうちからつけさせてやりたいと思います。自分の経験から学んだこと。「親は無くとも、子は育つ」。あ、誤解しないでください。親は居なくて良いという意味ではありません。子どもたちが出来ることは、本人が望むうちにやらせてあげた方が良いということです。家の手伝いも、学ぶことも。

 子どもたちが将来、一人の大人として、社会人として、自立させること。それが大人の役目だと、私は思います。

 その為に必要な、経験、知恵。それは、自分の足元や周りを知ることで、得られるものかなと。つまり、自分の置かれている環境です。自分、家族、学校、友達、仲間、地域、日本、世界、生物、地球。自分を生かしてくれている、活かしてくれている周りの環境を知り、そこに喜びと、未来への創造を描いて表現し、周りの環境を幸せにしてもらえたら良いなと思っています。

 私にとって、演劇は手段です。周りとのコミュニケーションツールです。様々な、喜怒哀楽を表現し、共に分かち合っていくものです。

 子ども環境劇団に経てくれる子どもたちには、自分を大事にすること、周りの友だちや仲間と共に学び成長し創造し合うこと、そしてそれを表現し、更にその喜びとメッセージを伝えること。それを体験してもらいたいと願っています。

 いずれ、大人になって、どんな形であれ、社会の役に立つ人間となり・・・何かを作る仲間として、何かを売る仲間として、何かをサービスする仲間として、その社会に元気に送り出せるお母さんとして・・・未来を創造できる一人であってほしいなと。

 それには、何事にも前向きに積極的に立ち向かう勇気と、知恵と、力が必要です。演劇創作には、それが体験できます。

 一人でも多くの子どもたちに、未来を創造する力を得てもらいたい。「美しい地球を子どもたちに」から、「美しい地球を創造できる子どもたちに」、それが、松尾のモットーです。


同じカテゴリー(理事長:松尾より)の記事
多文化交流
多文化交流(2014-01-30 17:22)

本番終了しました!
本番終了しました!(2013-12-22 14:12)


上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
松尾のモットー
    コメント(0)